WEBアクセシビリティとは
我が国は急速に高齢化社会へと向かっています。この状況に対応する為に、さまざまな工夫がなされるようになってきました。バリアフリー(障害を取り除いていくこと)やユニバーサルデザイン(誰でも利用出来る様に、最初から意図して、建築や生活空間等をデザインすること)という言葉は聞いたことがあるかと思いますが、これらとともにアクセシビリティも、皆が使える様に配慮することを示していて、とても重要な概念です。
WEBコンテンツのJIS化
2004年6月20日に、初めて「JIS X 8341 高齢者・障害者等配慮設計指針」が公示され、その「第3部ウェブコンテンツ」にはホームページにおけるアクセシビリティについて記載されています。これは、ウェブコンテンツを利用する人がどのような環境であっても、知りたい情報にたどり着けるように配慮するということです。たとえば高齢者の方や障害を持った方が、ホームページにアクセスした時に文字が小さくて読めないので大きい文字に設定しようとしても文字が大きくならなかったり、マウスを使えないのでキーボードで操作しようとしてもできなかったりすると、使いづらかったり使えなかったりするのです。また全ての人が、同じパソコン、同じOS、同じブラウザを使っている訳ではありません。古いバージョンをそのまま使っている人もいますし、高速回線ではない人もいます。こちらのパソコンでは、正常に表示されてメニューも現れるのに、あちらのパソコンでは動きが悪い上にメニューも表示されない。このような、バリアー(障害)をなくして、それらのことをきちんと配慮したウェブでなければならないということです。
アクセシビリティを配慮したウェブとは
では、アクセシビリティを配慮する為にはどのようなことが必要なのでしょうか
画像には適切な代替テキストが付けられているか
視覚障害者は、ホームページ上の情報を音声や点字に変換して参照します。したがってテキストで記述されていない画像(文字や写真)は音声や点字に変換されない為に把握することができません。画像には、それを説明する為の適切な代わりとなるテキストを付けなければいけません。
機種依存文字は使用しない
特定の機種やOSしか使用できない文字を使うとそれ以外の機種を利用している人にとっては文字化けして意味のわからないものになってしまいます。ホームページに限らずメール等にも、機種依存文字は使わないのが原則です。
キーボードだけでもリンクの操作が出来る
視覚障害者は、マウスポインタの位置を把握することが困難なため、キーボードを使ってリンクの移動を行います。テーブルを使ってレイアウトしている場合や、フラッシュなどの動画でメニューリンクを作っている場合は選択したい項目にたどり着けないことがあります。
色や形に依存しなければならない表現は避ける
これも視覚障害者にとっては情報が正確に 伝わりません。グラフや図を書くときは、形や文字も変化させて情報を識別出来る様に注意しましょう。その他に明滅やスクロールの速いものや、色のコントラストが極端に変わるものは避けた方が良いです。
レイアウトにテーブルタグは使わず、CSSで指定する
テーブルをレイアウト目的で使用すると、音声ブラウザが読み上げる時内容が理解出来ない読み上げ結果になってしまうことがあります。レイアウトはスタイルシート(CSS)でおこない、情報とデザインを分離しましょう。
上記の他にアクセシビリティを実践する為の文法がたくさんあり、細部にわたって決められています。アクセシビリティを配慮するということは、年齢や障害の有無だけでなく誰もが使いやすく、情報を受け取れるということです。制作者の自己満足が垣間見えるような、フラッシュを使った大掛かりなオープニングを設置して、動画が終了しないとメニューが表示されないサイトや、奇をてらったようなアクションをさせたり、アクセスした途端音楽が鳴り始めたりしても、ユーザーにとっては迷惑千万だったりするのです。
アクセシビリティサイトのメリット
アクセシビリティサイトは、高齢者や障害者の方に配慮する為だけのものでしょうか?それだけではありません。アクセシビリティサイトのメリットはもっと広くて深い部分に活かされています。
確かな情報伝達
アクセスしてくれた全てのユーザーに情報がきちんと伝わることです。当たり前のようでいて、この当たり前のことが実践されていないサイトが大変多いのです。「使えるサイト」というのは、多くの人が訪れてくれるので、ランクも高くなるし宣伝効果も大きいということです。
デザインのメンテナンスが一括して出来る
レイアウトや色彩等は、全てCSS に記述されているのでこれらの変更は、そのCSSをメンテナンスするだけで、全ページの適応されている部分が一度に更新されます。ページをひとつひとつ変えなくても済むので、作業時間が短縮されます。
データの軽量化が実現
テーブルレイアウトを使わず、CSSで完全に構造とデザインを分離させることによりファイルサイズが低減されます。つまり、デザインの組み立てや文字の装飾等はCSSでデザインし、そのファイルをHTMLではなく別のファイルで書き、リンクさせることによってソースが合理的に記述されるのです。見た目が全く同じページを、テーブルレイアウトで作った場合とCSSで組み立てた場合とでは、ソースの記述量は大幅に軽減されるのです。
SEO(検索エンジン最適化)対策
上にあげたデータを軽量化すると言うことは、読み込みを待つ時間を短縮出来るメリットもありますが、実はSEO対策として非常に大きい効力があります。コンテンツ内に、不要な記述がなく本文の記述が多くなると、検索エンジンに適切な情報が伝えられ、結果として検索結果上位に表示されやすくなります。